作品の材料。それはアイデアを見える形にするための基礎です。つまりそれは彫刻の材料に、自在に表情を彫り出すための大切な土台となります。そしてこの材料として、様々な素材が存在しますが、私は中でも木材を最も好んで使用します。その理由は、暖かなぬくもりを放ち、温度変化への適応性と吸湿性に富み自ら呼吸する、この生きた素材に大きな魅力を感じるからです。そして木材は、その種類の豊富さに加え、色や性質によって限りない可能性を与えてくれます。
さらに材料に加えて人間は何千年も前から色彩を表現手段に活用しています。それによって人間の感情や空間の雰囲気を表現することが出来ます。
さて、私は土台となるこの重要な木材の知識を充実させるために、例えば道路で除去が必要となった樹木を譲り受け、自分なりの研究を重ねています。樹木を製材し、木目によって樹齢を読みとり、時間をかけて乾燥させます。こうした木材には多くの利点がもたらされます。そして自然への感謝と自然への還元を心がけながら、作業を続けてます。
さらには私の工房で使用しない資源を無駄のないよう、造園会社や庭園所有者に提供しています。樹木の魅力を最大限に生かせるかどうかは、私の心がけ次第であると常に心に銘じています。
木材の裁断くずを最小限にとどめるために、例えば樹木の縁、亀裂、枝等も利用するコンセプトを目指してしています。特別な継手の技術を使い、この節目等も補強すると同時に装飾的要素へと変身させます。残念ながら一般的には割れや反りなどは無意味なものとして切り取られてしまもうことが非常に多いのです。私はこれを樹木の表情として捉え、造形的に作品に取り入れることに日々努めています。
さて、私の使用する樹木の種類には、切り株に独特の表情をもつ松、クルミの木、桜のき、リンゴの木、ナシの木などもあります。その木材が加工可能な状態になるまで、約五年乾燥期間が必要です。この期間中は、急激な乾燥とそれによる亀裂を回避するため、木材をまめに裏返し、時には散水も行きます。この作業と時間を通して、木材と正面から向き合いどのような作品に仕上げていくか考慮します。この他私の木材プロジェクトでは、トネリコ材、オーク材、赤杉、ココボロ、ローズウッドなども材料として購入し使用しています。
さらに、例えばテーブルの天板にお客様自身が見つけられた素材、あるいはアトリエで御自身が選択された素材を利用することもできます。皆様のご意見、ご要望を出来るだけ作品に反映できるように、ゆっくりとした話し合いの時間を設け、又それによって私の作業へのご理解を頂けるよう努力して参ります。